さよならまで、もうすこしだけ

虚実綯い交ぜの句日記・歌日記

2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

フェンネル

フェンネルの香りが記憶を呼び起こす リカールの味 ペルノの匂い

ガクアジサイ

蟻見上ぐ はるか遠くに額紫陽花

蟻集

過ちて踏み殺したる蛞蝓の死骸に集(たか)り貪る蟻ら

背景画像が気に入らなかった

青海波なのに薄茶たぁ これいかに

旧暦五月二十八日

停電の五六回あり 虎が雨

名を呼べば喃語でいらへて駆け寄れり わが魂のやさしさの形(なり)

蒸す

蒸し暑き日がまたひとつ暮れゆきぬ ほうれん草の軸を捻じ曲げ

ひとり

「おれたちはみな悲しみを抱いてる」、その「おれたち」にわたしはいない

夏至

夏至と知って日の長さに気づく

W杯のニュースを観て #2

今日はコスタリカ人がいい

そろり

「歳時記は『夏』だけ持っていないの」と農家の若妻そろり耳打つ

入梅したというのにまだ鳴いている

うぐいすの初鳴きくらいのちょうどよさ

片方だけあっても……

道に落ちている軍手のかたわれを思う

わかっている風で

ときおり陰暦をたしかめる

やっぱり無理か

ゴキブリだって尻が光れば

W杯のニュースを観て #1

今日だけコートジボワール人でいい