さよならまで、もうすこしだけ

虚実綯い交ぜの句日記・歌日記

寒柝

寒柝(かんたく)も「火の用心」の声も濡れ

寒鴉

寒鴉 痰の絡まる声で鳴き

雪催い

雪もよひ 法連草の顔も痩せ

ポインセチア

山間(やまあい)にポインセチアの姿見ず

大根洗い

大根(だいこ)洗ひ 氷の芯まで洗ひけり

こたつ猫

挨拶もなく膝に乗る炬燵猫

寒夕焼

寒夕焼(かんゆやけ) 尿(しと)より上る湯気照らす

踏みしだく

長靴に踏みしだかれ鳴く雪一面

冬田

登校に冬田横切る少女かな

おでん

鄙宿の土鍋の底の焦げ竹輪

寝巻

芭蕉忌や 寝間着の袖にもほつれあり

この辻より何処を向きても冬茜

掃除

心急(こころぜ)く銀杏の落ち葉に竹箒