さよならまで、もうすこしだけ

虚実綯い交ぜの句日記・歌日記

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

そして明日がきたら、きょうの話のつづきをしよう

ブランコのそばにサンダルひとつあり 夕焼けのごとき朝焼けである

飛行機雲

南北にのびる飛行機雲一条 夕焼けに吹かれ西へと流る

ふゆちゃん

あきちゃんが去ってふゆちゃんもう来るの? あすの最低気温1℃か!

ノクターン

いつか見た薄明の夢 夜想曲(ノクターン)

どんぐり

「団栗」とかけて「因果」と解きましょう 心はどちらも樹(気)に生(な)りますね

銀杏

年ごとに知る人の減り いてふ葉や

大字

町内に知らぬ字(あざ)あり 秋高し

わたしは○○で辞めました

辞めたわけ? わいンはSM、うちはカネ

引く

秋曇り 痩せ大根を試し引き

白菜の葉

秋雨に身を縮めたる白菜の青き外葉に白き火燃えけむ

雲の三兄弟

雨降りて明くる日 雲の山登り

ワタシハ、ニホンジンデス、タブン

受付で「日本人か」と尋ねられ「たぶん、わたしは日本人です」

理解しあえない

ドゥカティのライダースーツを着たきみは『ソラリス』なんて知らないと言う

柿の種

柿の種を寝間着につけし老人は今年癌腫をふたつ殺せり

クモの糸

蜘蛛の糸で編みしセイタカアワダチソウ

木っ端微塵

木っ端微塵になって消えたくなることもあるよ若いし人間なんだし

排水溝

友だちがいないからって憐れむな 排水溝に流れてった恋

消火器

言いそびれ帰りそびれた放課後の消火器のボンベ触って「冷たい」

島村抱月

へえ、キミも高校ンとき文学部? 島村抱月貸してよ今度

千日手

縁台の「へんこ」同士の千日手 警邏途中の巡査も見てる

土のう袋

幾度(いくたび)の台風のせいで破れてる土のう袋の「のう」が書けない

筋金入り

以前より筋金入りの人見知り ふたりでコーヒー飲んだりとか無理

「傘がない」じゃすまされない

香港のデモと松茸にゃ傘が要る

半オクターヴ

真夜中に練習抜け出し口笛す 半オクターヴずれても満月

つつがなし

恙なき台風一過の朝である

きよしの追っかけ

「きよしおるか」と雑誌棚荒らす おばちゃん 追っかけ音次郎

コスモス強し

秋桜も身を投げ出すや 風強し

似たもの父子

匂い立つすりぬかをくれし父と子はよく似てともに言(こと)少ななり

ヒエが燃える

稗(ひえ)よく燃ゆ 五時のチャイムの割れ響き

黒トンボ

本棚に迷い込んだか黒蜻蛉