さよならまで、もうすこしだけ

虚実綯い交ぜの句日記・歌日記

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

出来レース

「先取り」と「先送り」との出来レース

忙し自慢

猫抱へ 忙し自慢の八月盡

水泳帽

早熟の子らの掌にある水泳帽

コオロギ

手妻師(てづまし)の妻の胡弓の妙なれば闘蟋師(とうしつし)らは無聊託(かこ)ちて

メマトイ

メマトイの纏(まつ)はる八朔 不意の客

スペイン帰り

川遊び 西班牙帰りの者も居り

処暑

ボサノヴァでうつつに舫(もや)はる処暑の昼

百日紅

百日紅 花火のごとく花飛ばし

泣く姿までが憎らしい

泣くときは誰かに見せつけるような泣き方するのね、たまらないわね

蝦蟇

これまでをよく生きてきたな蝦蟇(がまがえる)

#1

「飽きたのう」と借り物の井戸の傍で笑い バカ強面(こわもて)は梅雨に濡れつつ

底上げ

台風が野菜のお値(ち)りを押し上げて

校歌

雲の峰 まだ歌えるかわが校歌

青虫に喰ひ囓られし小松菜の葉肉の跡にフィヨルドを見ゆ

蚊遣り

蚊遣りの香 眠りに泥(なづ)む身の底に

大幣(おおぬさ)で祓はれ我は鬼となる 終戦記念日出征の記憶

シエスタ

シエスタが破らる物憂き午後二時半 ガス交換手はボンベ引き摺り

迎え火

迎え火や 猫らの先祖も幾柱(いくはしら)

あごひげ

顎鬚を釦(ボタン)に挟まれ 盆支度

猫の内股

土砂降りと神鳴りの音に驚きぬ つづけて嚔(はなひ)る猫の内股

颱風

颱風が向日葵踏み圧し北上す

大雨

大雨で山より流るる砂利・泥・礫(れき) 塩バニラって喉が渇くね

立秋

歳時記の「夏」を収めて秋立てり

#43

ヨセミテの盆地のところに「クラブ・レバー」昔は肝を喰らわざりけり

原爆忌

束の間の静寂(しじま)のあとのすずろごと

田には風 飆(ひょう)と緑の波立たす

溽暑

溽暑なり 庭に戯(じゃ)れつく二羽の蝶

昼寝

昼寝多き懈怠(けたい)の夏よ 万事愛(は)し

日曜日

日曜日 野宿ついでに鐘鳴らす

土曜日

土曜日はダリの模写する偽絵描き