さよならまで、もうすこしだけ

虚実綯い交ぜの句日記・歌日記

水撒き

水撒き ホース踏み勢いが変わる

「ほなまたな」壁に文字書く蝸牛

ガクアジサイ

蟻見上ぐ はるか遠くに額紫陽花

蟻集

過ちて踏み殺したる蛞蝓の死骸に集(たか)り貪る蟻ら

旧暦五月二十八日

停電の五六回あり 虎が雨

蒸す

蒸し暑き日がまたひとつ暮れゆきぬ ほうれん草の軸を捻じ曲げ

夏至

夏至と知って日の長さに気づく

そろり

「歳時記は『夏』だけ持っていないの」と農家の若妻そろり耳打つ

入梅したというのにまだ鳴いている

うぐいすの初鳴きくらいのちょうどよさ

やっぱり無理か

ゴキブリだって尻が光れば